レースの歴史の中でも、比較的遅くに発達したクロッシェレース(かぎ針編みレース)はニードルポイントレースやボビンレースの模倣品として制作され始め、その手ごろな価格と豪華さから世界中にその技法が広まり、19世紀の終わりには、アイルランドでも広く制作され始めます。 杉野学園衣裳博物館のレース資料の多くは、本学創設者である杉野芳子によって収集されたもので、なかでもアイリッシュ・クロッシェレースは、その小さなバラやデイジー、三つ葉などのモチーフや編み目の細かさなどから、オートクチュールの服飾品として用いられていたことが展示資料からも伺えます。アイリッシュ・クロッシェレースは豊かなアイルランドの自然と文化が育んだ芸術とも言えるでしょう。
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